カテゴリー: ニュース・制度解説

  • 扶養内パートは今後どうなる?第3号被保険者と社会保険適用拡大の正しい話

    「第3号被保険者制度って、なくなるんですか?」
    「パート扶養って無くなるんでしょ?」

    最近、扶養制度の今後について不安視する声が多く見られます。SNSや動画では「専業主婦も保険料を払うようになる」「扶養完全廃止!?」といった刺激的な見出しも目立ちます。

    ですが、2025年に成立した法律で確定したことを一つずつ確認していくと、実態はかなり違います。この記事では、公的資料だけをもとに「すでに決まったこと」「まだ議論の段階のこと」を分けて整理します。


    ① 確定したのは「第3号の廃止」ではなく「社会保険の適用拡大」

    2025年6月13日に成立、2025年6月20日に公布されたのが、年金制度改正法(正式名称:社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)です。

    ここで真っ先に押さえておきたいのは、この法律に「国民年金第3号被保険者(だいさんごうひほけんしゃ)制度の廃止」は盛り込まれていない、ということです。今回確定したのは、被用者保険(厚生年金・健康保険いわゆる社会保険)の適用拡大です。

    つまり「第3号制度そのものをなくす」のではなく、「社会保険に入る人の範囲を広げる」という改正だと考えてください。結果として第3号から外れる人は増えますが、それは制度の廃止とは意味が違います。ここが、「扶養制度の廃止!?」といった記事と事実が食い違っている一番のポイントです。

    何が変わる?

    短時間労働者(パート・アルバイト)が社会保険に加入するかどうかは、これまで複数の要件で判断されてきました。今回の改正で見直されるのは、主に次の3つです。

    項目 これまで 改正後
    企業規模要件 従業員51人以上の企業のみ対象 段階的に縮小し、最終的に企業規模を問わず対象
    賃金要件 月額8.8万円以上(いわゆる「106万円の壁」) 撤廃
    個人事業所 常時5人以上を使う法定17業種のみ強制加入 常時5人以上を使う全業種に拡大

    賃金要件と企業規模要件が撤廃されると、短時間労働者は週の所定労働時間が20時間以上(+2か月を超える雇用見込みがあり、学生でない)であれば、勤め先の規模や月収にかかわらず社会保険に加入することになります。

    いつから?

    すべてが一斉に変わるわけではなく、段階的に進みます。

    • 企業規模要件:法律の公布(2025年6月)から10年かけて段階的に縮小・撤廃
    • 賃金要件(106万円の壁):公布(2025年6月)から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断されます(最低賃金1,016円以上の地域で週20時間働くと、年額換算で約106万円になるため)
    • 個人事業所の適用拡大:2029年10月施行。ただし施行時点ですでにある事業所は、当分の間は対象外です。

    「来月から急に全員加入」という話ではない、という点はパートで働いている方や労務担当者が把握しておきたいポイントです。

    🔗 参照:年金制度改正法が成立しました|厚生労働省


    ② 扶養内でパートをしている方はどうなる?

    ここが、いちばん気になる方が多いポイントでしょう。厚生労働省も公式サイトのよくある質問で正面から回答しているので、その内容に沿って整理します。

    週20時間以上働くと、社会保険に加入することになる

    配偶者に扶養されている方(第3号被保険者)がパート・アルバイトで働く場合、雇用契約などでの週の所定労働時間が20時間以上であれば、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになります。

    社会保険料の負担は発生します。ただ、デメリットばかりではありません。

    • 将来の年金が、基礎年金に厚生年金が上乗せされ、終身で受け取れる
    • 健康保険からも、病気・けが・出産で会社を休んだときの給付(傷病手当金・出産手当金など)が手厚くなる
    • もしものとき、障害を負った場合の保障も手厚くなる(国民年金だけなら対象外の障害でも障害厚生年金の対象になる)

    たとえば、これまで扶養内(第3号)で月8万円ほど働いていた方が、シフトを増やして週20時間以上・月10万円で働くようになると、社会保険に加入し、その分だけ将来の厚生年金が積み上がっていく、というイメージです。

    週20時間未満なら?

    週の所定労働時間が20時間未満であれば、原則として社会保険の加入対象にはなりません。 この場合は、引き続き配偶者の扶養(第3号)でいられます。

    ただし、注意点が2つあります。

    • 残業などで一時的に週20時間以上になっても、すぐに加入対象になるわけではありません。ただし、週20時間以上の状態が2か月を超えて続くようであれば、加入対象となることがあります。
    • 年収130万円以上になると、週20時間未満で働く場合でも配偶者の扶養(第3号)から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生します。いわゆる「130万円の壁」は、今回の改正後も別途残るということです(収入が一時的に上がった場合は、事業主の証明により引き続き扶養が認められる特例があります)。

    担当者がやること

    ☑ 短時間労働者の週の所定労働時間を契約書ベースで確認する
    ☑  扶養内(第3号)で働いている従業員に、適用拡大の時期と影響を早めに伝える
    ☑  新たに加入対象となる従業員について、保険料負担の軽減措置(後述)が使えるか確認する

    🔗 参照:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省
    🔗 参照:「年収の壁」への対応|厚生労働省


    ③ 「第3号制度が廃止される」という話の正体

    ではなぜ、「第3号がなくなる」「扶養制度が終了する」という情報がこれほど広がっているのでしょうか。原因は、「提言・議論」と「決定事項」が混同されていることにあります。

    第3号被保険者制度そのものの縮小・見直しは、確かに長年議論されています。

    • 社会保障審議会の年金部会では、以前から「第3号被保険者を将来的に縮小していく」方向性が共有されてきました
    • 財務省の諮問機関である財政制度等審議会も、保険料を負担せずに基礎年金を受け取れる点などを「公平性」の観点から取り上げ、制度の見直しを建議(提言)してきています

    ただし、これらはあくまで「検討・提言」の段階です。年金部会の議論も財政審の建議も、それ自体が法律を変える力を持つわけではありません。実際、2025年に成立した改正法では、第3号制度そのものの廃止・縮小は見送られています

    審議会の議論や建議が「もう決まったこと」のように切り取られて拡散される——これが「第3号がなくなる!?」という不安の正体です。

    まだ決まっていないこと

    • 第3号被保険者制度そのものを縮小・廃止するかどうか
    • 仮に見直す場合の、対象者や所得制限などの具体的な中身

    これらは法律として確定していません。今後の審議会・国会での議論を、一次情報で追っていく必要があります。

    なお、仮に将来的に制度が見直される場合でも、一般的に年金制度の改正は、すでに受給している方や加入実績を積んだ方の給付がただちに止まる・減るという形ではなく、これからの取り扱いを段階的に変えていく形で議論される、という点も押さえておくと、過度な不安は避けられます。

    🔗 参照:財政制度等審議会 財政制度分科会|財務省


    補足:新たに加入対象になる従業員への支援策

    適用拡大で新たに社会保険に加入する短時間労働者には、特例的・時限的な保険料負担の軽減措置が設けられます。

    • 対象:従業員数50人以下の企業などで、要件の見直しにより新たに加入対象となる短時間労働者で、標準報酬月額が12.6万円以下の人
    • 期間:3年間
    • 内容:本来は労使折半の保険料について、希望する事業主が自社の負担割合を増やして従業員の負担を軽くできる。事業主が追加で負担した分は、その全額を制度全体で支援する。

    「保険料負担で手取りが減る」という不安に対して、激変緩和の仕組みが用意されている、という点はパートで働く方へぜひ伝えてあげてください。


    まとめ:「第3号がなくなる」ではありません

    最後に、この記事の核心をもう一度整理します。

    • 確定したのは「社会保険の適用拡大」であって、第3号被保険者制度(社会保険の扶養制度)そのものの廃止ではありません。
    • 適用拡大により、週20時間以上働く扶養内パートの方は社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになりますが、その分将来の年金や保障は手厚くなります
    • 週20時間未満であれば、原則これまでどおり第3号でいられます(ただし130万円の壁は別途残ります)。
    • 第3号制度そのものの縮小・廃止は、財務省(財政審)や審議会で議論されている段階で、まだ決まっていません

    「第3号がなくなる」のではなく、「社会保険に入る人が段々と増えていく」。これが、いま確定している事実です。不安をあおる情報に振り回される前に、自社の従業員がどの区分に当てはまるのかを一度整理しておくことをおすすめします。

    社会保険適用拡大への対応や、従業員への説明資料の作成、扶養の判定でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。スポット対応も承っております。

  • 【令和8年度】3月・4月からの保険料率改定まとめ|健康保険・子ども子育て支援金・雇用保険

    【令和8年度】3月・4月からの保険料率改定まとめ|健康保険・子ども子育て支援金・雇用保険

    年度替わりの時期がやってきました。令和8年度は、健康保険料率(3月分から)子ども・子育て支援金(4月分から)雇用保険料率(4月分から)と、保険料に関する変更が重なっています。

    給与計算ソフトの設定変更や、社員への周知など、対応が必要な業務が多い時期です。見落としや設定ミスが起きやすいタイミングでもあるため、この記事でポイントを整理しておきましょう。


    ① 健康保険料率の改定(令和8年3月分から)

    いつから?

    令和8年3月分の保険料から新しい保険料率が適用されます。基本的に健康保険料(社会保険料)は、翌月徴収のため3月分の保険料は、4月の給与から天引きされます。

    保険料率はどうなる?

    協会けんぽ(全国健康保険協会)の保険料率は都道府県ごとに異なります

    令和8年度の各都道府県の保険料額表は、協会けんぽの公式サイトで公開されています。現在ご使用の料率と照らし合わせて、変更の有無を確認してください。

    参照:令和8年度保険料額表(令和8年3月分から)|協会けんぽ

    なお、健康保険組合に加入している場合は、加入している組合からの案内を確認してください。協会けんぽの料率とは異なります。

    【3月分給与計算前に】担当者がやること

    • 協会けんぽのサイトで自社所在地の新しい保険料額表を確認する
    • 給与計算ソフトの対応(自動更新or自分で更新)を確認する
    • 必要に応じて社員へ保険料変更を周知する

    ② 子ども・子育て支援金の開始(令和8年4月分から)

    これは何?

    「子ども・子育て支援金」は、令和8年4月分から新たに徴収が始まる制度です。健康保険の仕組みを通して徴収されます。

    これまでは存在しなかった新しい負担であり、多くの会社で初めての対応になります。

    協会けんぽ・健康保険組合・共済組合に加入している場合

    令和8年度の支援金率(保険料率)は、国が一律で定めた 0.23% です。

    負担は労使折半のため、個人(従業員)の実際の負担は次のとおりです。

    個人の負担金額(月額)= 標準報酬月額 × 0.115%

    たとえば標準報酬月額が30万円の方の場合、個人負担は月額 345円 です。

    いつから給与天引きが始まる?

    令和8年4月分の保険料から拠出が始まります。4月分は、5月の給与から天引きされます(月末締め・翌月払いの場合)。

    参照:子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁

    【4月分給与計算前に】担当者がやること

    • 給与計算ソフトに子ども・子育て支援金の設定を確認(自動追加or自分で追加)する
    • 設定できない場合は、健康保険料率の中に含まれているか確認する
    • 可能であれば社員への事前周知を行う(初めての控除なので伝えておくとトラブル防止になります)

    ③ 雇用保険料率の改定(令和8年4月分から)

    令和8年度の雇用保険料率(一般の事業)

    雇用保険料率が令和7年度の1.45%から令和8年度は1.35%へ引き下げられます。

    区分 令和7年度 令和8年度
    雇用保険料率(全体) 1.45% 1.35%
    失業等給付費等 0.70% 0.60%
    育児休業給付費 0.40% 0.40%(据え置き)
    二事業費(事業主のみ) 0.35% 0.35%(据え置き)

    (※一般の事業の場合。農林水産・清酒製造・建設の事業はそれぞれ異なります。)

    労使の負担内訳(一般の事業)

    負担者 令和7年度 令和8年度
    労働者(従業員) 0.55% 0.50%
    事業主(会社) 0.90% 0.85%

    失業等給付・育児休業給付は労使折半、二事業は事業主のみ負担です。 労働者の負担は、失業等給付0.30% + 育児休業給付0.20% = 0.50% となります。

    参照:令和8年度雇用保険料率関係告示案(厚生労働省)
    【2026/3/13追記】参照:令和8年度の雇用保険料率のご案内(厚生労働省)

    いつから?

    令和8年4月分の保険料から新料率が適用されます。4月分の保険料は、4月分の賃金を支払う際に控除します(月末締め・翌月払いの場合は5月支給分から)。

    担当者がやること

    • 給与計算ソフトの対応を確認(自動更新or自分で更新)する
    • 前払い退職金制度(中退共など)と組み合わせた計算がある場合は別途確認する

    まとめ:4月給与までに対応すること

    対応内容 適用開始 給与への影響
    健康保険料率の更新 3月分(保険料) 4月給与から(翌月控除の場合)
    子ども・子育て支援金の設定 4月分(保険料) 5月給与から(翌月控除の場合)
    雇用保険料率の更新 4月分(保険料) 4月または5月給与から(締め支給日による)

    健康保険料の更新は2月分の給与計算を終わり次第、雇用保険と子ども・子育て支援金は4月給与の計算前までに完了しておきましょう。


    年度替わりは、設定ミスや周知漏れが起きやすい時期です。給与計算ソフトは、ほとんどが自動で更新されますが、必ず設定内容を自分の目で確認することをおすすめします。

    ご不明な点やソフトの設定変更サポートのご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • 発熱症状・コロナ陽性がでたとき、濃厚接触者となったとき、支援給付チャート

    発熱症状・コロナ陽性がでたとき、濃厚接触者となったとき、支援給付チャート

    Twitterの方でつぶやいた画像をこちらでも。身近、もしくは自身にコロナが発生したとき、頼れる可能性がある支援給付判定チャートです。

    きっかけは岡先生のこちらのツイート

    https://twitter.com/okayokay0214/status/1492650548624904194?s=20&t=dGTCGnpiEhyX-O3OUXtdgg

    制度があるにも関わらず必要な方へ中々情報が届きにくいのだなと思いトップ画像のチャートを作成しました。
    (知ったところで申請が大変なんだよって話もあると思いますが……)
    以下、傷病手当金・労災保険給付・休業支援金について少し補足します。

    傷病手当金

    自分が協会けんぽか健康保険組合か不明な場合は健康保険証を見てください。
    健康保険証
    上のイメージは協会けんぽの健康保険証ですが、保険者名称の記載を確認して、その記載の保険者での申請方法を確認してください。
    なお、協会けんぽの場合は、申請書に事業所と医師等に書いてもらう欄があります。

    労災保険給付

    業務上感染し、休業した場合は労災保険の休業補償給付(1日あたりざっくり日割賃金の8割)が受給できる可能性があります。
    請求手続きは基本的には労働者自身で行いますが、困難な場合事業主が助力することとなっています。
    医療従事者のほかにも、小売の販売員さんや飲食店店員さんにも業務上と認められた事例があります。
    問い合わせ先は労働局・労働基準監督署になります。

    休業支援金

    正式名称を「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」といいます。
    勤め先が時短・休業になったが休業手当が出ない、濃厚接触者となり自宅待機となったが休業手当がでない、そういった場合に利用できる支援です。
    申請は労働者だけでも行えますが、事業主が協力することで審査が早く進みます。事業主の金銭的負担はありません。
    問い合わせ先は専用のコールセンターとなっています。

  • 改正育児・介護休業法!4月1日施行で就業規則はどう変わる?

    改正育児・介護休業法!4月1日施行で就業規則はどう変わる?

    いよいよ2022年4月1日から改正育児・介護休業法が施行されます。結局、就業規則はどこを確認すれば良いのか解説します。

    4月1日から施行される改正部分をおさらい

    4つあり、うち「有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件緩和」は就業規則の見直しが必要です。

    1. 妊娠・出産申出をした労働者への育児休業個別周知・取得意向確認の義務付け
    2. 育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け
    3. 育児休業の申出方法等の見直し
    4. 有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件緩和

    太字部分について詳しく説明します。

    個別周知は何を知らせるの?

    妊娠や配偶者の出産予定を報告した従業員に対して、会社は次の4点を知らせなくてはなりません。

    • 育児休業に関する制度
    • 育児休業申出の申出先
    • 雇用保険の育児休業給付に関すること
    • 労働者が育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い

    個別周知の準備としては、周知用の文書作成があります。文書を作成するにあたり、気を使わなければならないのが10月1日施行の出生時育児休業や育児休業分割取得に関してです。これらについても掲載する場合は、制度施行については10月1日であることと、10月以降は社会保険料免除のルールが変更となることを明記しましょう

    なお、厚生労働省に個別周知書式があります。ご丁寧に

    1. 10月1日施行の内容も含めたバージョン
    2. 4月~9月までバージョン
    3. 10月以降バージョン

    と3種類あるのでこれを基に作成するのが良いと思います!

    参考様式 個別周知・意向確認書記載例

    厚生労働省 育児・介護休業等に関する規則の規定例

    有期雇用労働者の取得要件緩和

    これまで、有期雇用労働者が育児休業を取得するには2つの条件がありました。

    • 事業主に引き続き雇用された期間が1年以上の者
    • 子が1歳6か月に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者

    要約すると、入社1年以上で**契約期間が子の1歳6か月の日までに満了しない(あるいは更新が確定している)**方だけが取得することが出来ました。

    改正により、雇用された期間が1年以上の者が廃止となります。よって就業規則で次のような記載があった場合には改定が必要です。


    (育児休業の対象者)
    第○条
    1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、本条第2項に定める者に限り、育児休業をすることができる。
    2 育児休業ができる有期契約従業員は、申出時点において、次のいずれにも該当する者とする。
    イ 入社1年以上であること。
    口 子が1歳6か月(第○条第○項の申出にあっては2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。


    第2項のイ部分が廃止となりますので次のように改定します。


    (育児休業の対象者)
    第○条
    1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1 歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、子が1歳6か月(第○条第○項の申出にあっては2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り、育児休業をすることができる。


    規程中の(第○条第○項の申出にあっては2歳)の○条○項部分には、子が2歳に達する日までの育児休業を取得できることについて書かれた条項番号が入ります。

    ちなみに、労使協定によって入社1年未満の従業員の育児・介護休業取得を除外することは可能です。すでに「従業員」を対象としてそういった労使協定を締結済みの事業所については、有期労働者も含めて除外する場合改めて労使協定を締結する必要があります。

    令和3年改正育児・介護休業法に関する Q&A  Q4-3

    10月1日施行分はもっとボリュームがあるので早めに準備を!

    10月には出生時育児休業、分割取得、撤回ルールなどボリュームある改正施行がつづきます。早め早めに検討し、準備しておくことが望ましいです。

  • 改正育児介護休業法の施行

    改正育児介護休業法の施行

    半年ぶりの更新となってしまいました。私事ですが先月出産しました。当事者となることで制度をきちんと知ることが出来た気がします……。今日は改正育児介護休業法の施行日についてお知らせします。

    そもそも育児休業って何?いつから?

    育休(育児休業)と産休(産前産後休業)って混同されやすいのですがそれぞれ次のような違いがあります。

    法律 期間 対象者
    産休 労働基準法 産前6週間産後8週間※ 女性労働者
    育休 育児・介護休業法 男性は出生日から・女性は産休終了後から 1歳に満たない子どもを育てている労働者
    ※ 双子以上の場合は産前14週間

    また、要件はありますが 社会保険(協会けんぽ等の健康保険) の被保険者である場合は産休中 「出産手当金」 という手当を受け取ることができ、雇用保険 の被保険者である場合は育休中 「育児休業給付金」 という手当を受給することができます。どちらも金額は賃金の約67%です。育児休業給付金は受給期間が半年を過ぎると50%になります。

    育児休業は女性労働者の取得率が80%を超えているのに対して男性労働者は10%未満が長らく続いていました。政府は性差によって負担に偏りが生じない社会づくりを進めていく必要があると提言。2020年までに男性労働者の育休取得率13%を目標としていました。

    その結果、最新の雇用均等基本調査の速報値で、2020年12.65%と目標には届かなかったものの、過去最高を記録することができました。

    改正育児介護休業法の施行日と主な内容

    そんな政府肝入りの改正育児介護休業法ですが、ざっくりと改正内容を紹介します。

    1. 出生時育児休業の創設
    2. 育休の取得しやすい職場環境の整備
    3. 有期契約労働者の育休取得要件緩和

    出生時育児休業というのは、出生後8週間以内に最大4週間まで柔軟に取得できる休業制度のことです。もちろん出生時育児休業の取得に関わらず従来の育休も取得することができます。

    改正育児介護休業法は3段階で施行されます。

    2022年4月 2022年10月 2023年4月
    ■事業主への取得しやすい環境整備、妊娠出産の申出をした労働者に対する個別周知・意向確認の義務付け
    ■有期雇用労働者の育休取得要件の緩和
    ■出生時育児休業の創設
    ■育児休業を2回まで分割して取得可能
    ■常時労働者数1000人超の事業主に対して育休取得状況の公表を義務付け

    出生時育児休業と従来育休がそれぞれ2回分割できるので、最大4回に分けて育休を取得することもできます。

    出産直後は本当に大変なので(現在身をもって感じています)、この法改正で取得される方が増えると良いなと切に思います。

  • 4年ぶりの年金額引下げ、年金額計算の仕組みを解説

    4年ぶりの年金額引下げ、年金額計算の仕組みを解説

    新年度は様々な対応に追われる方が多いと思います。先日、こんなニュースを目にしました。

    4月から変わるもの…国民年金・厚生年金、介護保険料、消費税込みの「総額表示」

    介護保険料の引上げは「高齢化に伴い」ということで理解出来ますが、「年金の引下げ」は中々ショッキングな字面だと思います。一見すると来年も引下げが続くの?引下げ幅は増大する?と不安になります。今回は年金額計算の仕組みを解説いたします。少しでも、年金について安心してもらえると幸いです。


    • ポイント1 正確に言うと 引き下げられたのは○○率

    まず年金は、国民年金と厚生年金の2種類があります。社会保険に加入している方は給与明細から 厚生年金保険料 が天引きされているはずですが、それは将来天引きされた額に応じて 老齢厚生年金 が受給されることとなります。

    社会保険に入っていない方についても、国民年金を10年(120月)納付・申請免除などの期間があると 老齢基礎年金 が受給できます。こちらは納付月に応じた定額で、40年(480月)の満額で780,900円/年となります。社会保険に加入している方は厚生年金保険料を納めているので、それとは別に国民年金保険料を納める必要はありませんので安心してください。

    そしてそれぞれの年金額計算式は次のようになっています。

    • 国民年金(老齢基礎年金) 780,900円×改定率
    • 厚生年金(老齢厚生年金) (平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×2003年(平成15年)3月までの社会保険加入月数+平均標準報酬額×生年月日に応じた率×2003年(平成15年)3月以後の社会保険加入月数)

    さて、上記のニュース映像を見ると、国民年金は月々66円引下げ、厚生年金は月々228円引下げとなっています。

    資料元は厚生労働省のこちらのプレスリリースだと思います。(厚生年金は先に述べたように天引きされた額によって違います。228円引下げは専業主婦・夫と社会保険加入の配偶者が平均年収5,268,000円で40年勤続した場合を想定しています。)

    実は、国民年金(老齢基礎年金)も厚生年金(老齢厚生年金)も計算式や年金額自体が変わった訳ではなく、 改定率 が変わりました。

    改定率は、賃金変動や物価変動に応じて年金額を自動的に連動させるための率です。ざっくり言うと、 物価や賃金が上昇すれば年金額も上がり、物価や賃金が下がれば年金額も下がります。 今回の改定率は1.001から1.000へと0.1%引き下げられました。これは 名目手取り賃金変動率が0.1%減少したため です。

    老齢厚生年金では、平均標準報酬月額・平均標準報酬額の計算中に 再評価率 という率を用いるのですが、再評価率の算出にも改定率と同じように賃金変動が考慮されています。そのため、賃金が0.1%減少した影響によって再評価率も見直され、老齢厚生年金の引下げとなりました。


    • ポイント2 2008年(平成20年)から見て最も低い改定率は0.982

    2008年(平成20年)度から2021年(令和3年)までの間で最も低い改定率は2012年(平成24年)と2013年(平成25年)度適用の0.982でした。2014年(平成26年)に年金制度の大規模な改訂以降は、 改定率は0.998~1.001の範囲内で推移 しています。

    断言は出来ませんが、現在の年金額計算の仕組みを考えると、改定率が一年で大きく(具体的には0.5%以上)変わる可能性は少ないように思います。


    ニュースタイトルだけ見ると不安が煽られますが、実際の年金額計算の仕組みは 現役世代の負担が大きく・急なものにならないように ということと、 受給世代が生活していける ことを考えて作られています。投げやりにならず、制度が長期的に運用されることを信じて納付したいものです……。

  • 厚生年金・健康保険で押印不要となった書類

    厚生年金・健康保険で押印不要となった書類

    本年もよろしくお願いいたします!

    早速ですが今回は厚生年金・健康保険関係の事業主等押印が不要になった書類のご案内と、厚生労働省が案内している生活支援策ページを紹介いたします。
    2020年12月25日、「押印を求める手続の見直しのための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令」が施行されました。これにより、対象書類について事業主等の押印が不要となりました。

    押印が不要となった厚生年金・健康保険関係書類

    書類名をクリックすると年金事務所の該当ページにリンクします

    確認すると2020年12月25日付で記入例から押印が消えていますね。

    【厚生労働省ページより】生活を支えるための支援のご案内

    生活を支えるための支援のご案内

    首都圏の1都3県を対象に1月8日から来月7日までの期間、緊急事態宣言が出されます。時短要請がかかっている業種を中心に、一部休業の対象となる方もいらっしゃるかと思います。

    上記リンク内にある 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 は休業手当を事業主より受けられなかった方向けの支援金で、労働者が申請して労働者の口座に直接振り込まれます。

    休業した期間によって申請期限が設けられているのでご注意ください!2021年1月・2月分休業の申請期限は2021年5月31日までとなっています。

  • 育児休業中の社会保険料免除が対象厳格化

    育児休業中の社会保険料免除が対象厳格化

    今月の26日、厚生労働省は育児休業中の社会保険料の支払いが免除される制度について、適用条件を厳しくする方針を定めました。
    従来(現在も)月末時点で育児休業を取得している状態だと、その月の社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)が免除となっていました。その基準を厳しくするようです。

    社会保険料免除対象 現行 見直し案
    給与 月末時に取得(月末1日だけの取得でも可) 現行+同月に2週間以上取得
    賞与 月末時に取得(月末1日だけの取得でも可) 連続1カ月超で取得

    この育児休業中の社会保険料免除は、インスタグラム等でも、社会保険料節約!と題して現行の基準を逆手に取った方法が紹介されることが多いものでした。見直しがされて、制度の趣旨に沿った育児休業取得の促進がされることを願います……。

    ちなみに、育児休業を取得出来る労働者は下記条件に該当する方です。

    1. 法律上の親子関係があり、原則1歳未満の「子」を養育する男女労働者
    • 日雇い労働者ではない
    • (有期期間労働者の場合)同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
    • (有期期間労働者の場合)子が1歳6カ月に達する日までに労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
    • このほか労使協定で育児休業の対象外とする一定の労働者でないこと

    上記条件に、有期期間労働者の場合と書きました。期間の定めはないけど労働時間が通常より短いパートタイマーや短時間労働者はどうなる? と言いますと、1.2.5の条件を満たしていれば育児休業の取得が出来ます。


    現時点では、新しい基準や施行時期は明かされていませんが多くの労働者に関係してくるニュースでした。新しい情報が出ましたらまた記事にします。